めっきの外観

めっきの外観

亜鉛めっき面には普通、めっき浴面の酸化膜が残り、特徴的な外観を呈します。 亜鉛めっき面の色合いは、時間の経過や環境的な要因で変化します。 また、鋼材の成分によって仕上がりの外観は異なってきます。

【不めっき及び剥離】
局部的にめっき皮膜が形成されていない状態(不めっき)又はめっき皮膜が形成された後、局部的にめっき皮膜が素材から剥がれた状態(剥離)のものをいいます。 (一社)溶融亜鉛鍍金協会で実施した暴露試験結果によって、不めっき及び剥離による露出部の幅が5mm以下の場合は、犠牲的保護作用の働きによって実用上問題ないことが確認されています。
【たれ】
素材の表面又は端部に、亜鉛が比較的多く残り付着しているもので、尖り・山形・線状のものなどがあります。接合部・かん合部及び鋭利なたれは、グラインダ・ヤスリなどを使用して実用上支障の無い程度に仕上げを行います。
【かすびき】
めっき皮膜の表面に亜鉛酸化物又はフラックス残さが付着した状態をいい、使用上支障があるかすびきはヤスリなどを使用して除去します。
【やけ】
亜鉛と鉄との合金でできた層(合金層)がめっき表面まで発達したもので、金属亜鉛の光沢がなく、表面がつや消し又は灰色を呈し、甚だしい場合には暗灰色となります。やけは大気中での耐食性には影響なく、密着性さえ十分であれば実用上の欠陥とはなりません。 また、 素材の鋼製造工程(脱酸法〉に因るけい素(Si)の含有量によってやけの発生程度に差が生じます。
【変色】
保管中の薬品などの付着及びめっき浴からの引上げ時に、めっき表面が変色したものをいいます。 めっき引上げ時に生じる変色は、光の干渉・反射に起因したもので、耐食性に影響はありません。
【白さび】
保管中に雨水の付着、結露などによって生じた塩基性炭酸亜鉛などの腐食生成物です。 白さびによるめっき皮膜の消耗はわずかで、耐食性にはほとんど影響はありません。
【シーム】
素材にきずがあると、めっきしたときに、めっき表面に特徴ある線状の凹凸になるめっきをいいます。 シームは、通常めっき皮膜が形成されているのでそのまま使用しても問題はありません。 しかし、その面を無理に平滑にしようとすれば、素材表面が露出してしまうことになります。
【ざらつき】
微粒状の突起があり、めっき浴中の懸濁浮遊物質(ドロス)が鋼材の表面に付着した部分をいいます。 耐食性には影響はありません。
【きず】
めっき作業中めっき用具とめっき表面との接触こん(痕)をいいます。 めっき表面のきずは発生位置大きさ及び深さによってその有害性を判断し、必要に応じて亜鉛末塗料などで補修をします。

※『JIS H8641:2021溶融亜鉛めっき』による。